2012年8月16日木曜日

PubMed検索ってどうやればいいですか? ステップ3:検索ワードを考える

Clinical Queriesのすごさがわかってきたところで。いよいよ,文献の絞り込みです。名郷先生に見てもらいながら,まずはCOREジャーナル創刊号のCQ3からはじめてみることにしました。

Clinical Question:糖尿病に対する厳格な血糖管理の効果は?
  • P 2 型糖尿病患者え
  • E 薬剤による厳格な血糖管理
  • C 標準治療
  • O 失明,人工透析への移行,心筋梗塞,脳卒中,死亡
前回のデモでは,Clinical Queriesの検索窓にdiabetesとmortalityを入力し,Systematic Reviewsが1000件以上となりましたので,まずは検索ワードを見直してみます。

ステップ3: 検索ワードは少なく,シンプルに。まずは"P"と"O"を入力しよう

今回は「薬剤による厳格な血糖管理」が問題にされているから,intensive glucose controlはどうだろう?具体的な薬剤名をいれてみてもいいのかな?mortalityよりもっと具体的なアウトカムを入れた方がよさそう?などと,編集部員からいろいろな意見がでました。
先生の答えは・・・

―― 検索ワードをやたらと入れるとドツボにはまります。その領域の医学的知識が豊富で,検索の仕組みを熟知しているならできなくはないでしょうが,ここではやめておきましょう。

↑たしかに,薬剤といってもたくさんありそうだし,一般名かクラス名か,それとももっと大枠の「糖尿病治療薬」的な用語がいいのか・・・,あらゆる可能性を先回りすることなんて私たちには無理。
・・・。

――でもintensive glucose control の"intensive"だけ加えてみるといいかもしれませんね。

↑そうか,かならずしもフレーズで検索するわけではないのだから,あまり重要でないglucoseとcontrolは切った方がいいんだな。で,intensiveを加えてみたところ・・・
なんと約150件まで絞り込まれたではありませんか!!
でもmortalityって,どうなんだろうなあ。

―― 今回は真のアウトカムについて調べたいわけですが,心筋梗塞や脳卒中という具体的な用語より,死亡(mortality)を選びましょう。真のアウトカムを評価した研究なら,まず,死亡率も検討しているはずですから。

↑ なるほど,この検索では,ピンポイントで死亡率の研究を探そうとしているのではなく,「死亡率」をエサにして,真のアウトカムについての検討結果をさがしてるってことなんだ。
(後日,"mortality" を使ったときと "death" を使ったときとで若干結果が変わってくることに気がつき,CORE ジャーナル本誌では(death OR mortality)を使っています)

diabetes,mortality,intensiveでの検索結果をみてみると,いきなりメタ解析やコクランレビューの新しいのが3件も!!
今回,名郷先生から,スペシャルなコツを伝授してもらいました(まだどこでも話してない,とおっしゃってました。なんてラッキー!)。
  1. 検索式を作るときは,まず"P"と"O"を入力する
  2. 検索結果が多すぎるときは,"E"を加えてみる
PECOを作っておいたことが生きてきました。この方法なら,単なる思いつきではなく,戦略的な検索ができますよね。この戦略的というのがたぶん,すごく,大事なことなんだと思います。

長くなってしまいました。今回はメタ解析3件が見つかりました。次回の更新では,ランダム化比較試験など一次研究の探し方についてご紹介する予定です!

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