利益と害のバランスを論理的に考えよう☆考えるよりまずLHHを計算
本誌no.3 CQ6:脳梗塞再発予防にスタチンは有効か?LDL-C厳格管理の有用性と安全性は?
で検索した,SPARCL試験(PMID:18077795)について伺っていたときのことです。
― なるほど。脳梗塞二次予防という「利益」は,脳出血発症という「害」は少なくとも上回るといえそうですね。
↑ なぜそのように判断されたのでしょう?
― 計算すると脳梗塞予防のNNTは42,脳出血発症のNNH(何人治療すると1人に有害なイベントが起こるか)は107。単純に計算すると利益は害の2.5倍くらいですね。
↑以前このブログにも登場した,LHH(likefood of being helped or harmed)ですね!たしか,NNTとNNHの比をとって,利益が害の何倍かを示す指標だから・・・ LHH=NNH(107)÷NNT(42)で,2.547・・・ ほんとだ約2.5です。
― スタチンによって脳梗塞は有意に減って,脳出血が有意に増える,というように,利益と害が明らかなときはLHHを計算する習慣をつけておくといいですよ。
↑ 先生のように瞬時に計算できればいいんですけど。でも,「2.5倍」と数字になると,頭でごちゃごちゃ考えるよりすっきりするし,ほかの研究と見比べるときも便利ですね。
― そうですね。今回は脳梗塞と脳出血の比較だから・・・ イベントの重みとしては,脳出血のほうがやや重いと捉えてもよいかも知れない。脳出血の「重み」が2.5倍だとしたら,利益と害のバランスはトントンです。でも実際には重みは2.5倍とまではいかないでしょうから,やっぱり脳梗塞二次予防という「利益」が上回るといえます。
↑ 感動するくらいすっきりします!
― そうでしょう。まずLHHを計算し,その後,じっくりとイベントの重みを考えるのがコツですよ。でも,本当にスタチンでLDL-Cを低下させる価値があるのかどうかは,さらに一歩進んだところの話です。CORE Journal本誌で,専門家がどういう回答を導くのかを楽しみにしましょう。
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この後,先生からオッズ比からNNT,NNHを計算するための方程式なども教えていただきました。見せていただいた統計の本(洋書)をめくりながら・・・,先生から一言。「勉強が好きすぎてやめられないんです」
※この内容は,本誌第3号に,詳細を掲載しています→CQ6
次回の更新では・・・
『効果指標による印象の違いを知っておこう☆事実は一つです』
について紹介する予定です!
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